演劇界でハラスメント防止に取り組んできた舞台関係者が、支援を求めた法律専門家からセクシュアルハラスメントを受けるという、信じがたい事件が起きました。被害者は数年前に訴訟を起こし、最近、加害者による謝罪と解決金の支払いにより和解が成立しました。この事案は、ハラスメント防止活動に携わる者自身が加害者になり得るという深刻な教訓を私たちに投げかけています。
被害者の舞台関係者は、演劇界からハラスメントをなくすための活動を展開してきました。ところが、支援を依頼した法律専門家から、身体接触を強要されたり、性的関係を迫られたりする被害を受けたのです。この加害者は、社会問題の集団訴訟でも中心的な役割を果たし、ハラスメント防止に取り組んでいた人物でした。つまり、世間的には「正義の担い手」と見なされていた人間が、その影で被害をもたらしていたのです。
被害者は、精神的な苦痛を抱えながらも声をあげ、訴訟という手段に踏み切りました。地方裁判所での協議を経て、加害者が被害者の意思に反して性的関係を持ったことを認め、謝罪したうえで解決金を支払うという形で和解に至りました。被害者は「被害にあったことで人生が一変し、今もフラッシュバックに苦しんでいるが、声をあげたことを誇りに思う」とコメントしています。
このような事件から学ぶべきことは多くあります。まず第一に、「支援者」「専門家」「正義の味方」とされる立場の人間も、権力構造の中で加害者になり得るという現実です。精神科医と患者、宗教家と信者などの関係でも事件が起きています。今回のようなセクシュアルハラスメントは、被害者と加害者の関係性が「守る―守られる」の関係が強いからこそ起きた事案だと思われます。
第二に、企業内においても、肩書きや立場ではなく「行動」を基準にチェック体制を設ける必要があります。いかなる立場にあっても、権力を濫用したり、相手の尊厳を傷つけたりする行為は決して許されません。被害者が声をあげやすい環境づくりと、加害者の立場にある者への継続的な教育が不可欠です。
ハラスメントは「他人事」ではありません。そして、正義を語る人がその陰で加害者になり得る現実を、私たちはしっかりと直視しなければなりません。
それでは皆さま、ごきげんな一日をお過ごしください。
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