ハラスメントが起きない組織を作る専門家、白石恵美子です。
パワハラやイザコザが多い会社の特徴は、組織図が絵に描いた餅になっていることが多いです。
一般社員に「あなたの評価者は誰ですか?」と聞くと、「え~っと、主任かな?課長かな?あれ、社長かな?」なんで答える会社は、まさに絵に描いた餅になっています。意外にも、大手企業でもこんな状態の会社があります。
組織が崩れる原因を三つ挙げるとしたら、一つ目は「一つ飛ばし」です。例えば、部長が、新人に対して「入社おめでとう。飲みに行こう。」と誘ったり、直接、「売上が上がってないぞ。」などと、間にいる課長を飛ばして直接介入してくる問題です。
飛ばされた課長は、良い気がしないし、口では「部長ありがとうございます」なんて言わなければならない。もっと悪いことに、新人は部長とホットラインができたことを鼻にかけ、課長を馬鹿にし始めます。そして組織が崩れていくのです。
二つ目は、「越権行為」を許している事です。総務部所属女性Aさんの電話対応が悪いというお客様からのクレームが、営業部の営業課長Bさんにありました。B課長がAさんに直接注意したら、それは越権行為です。B課長は直属の上司である営業部長に報告し、営業部長は、しかるべき会議か、あるいは、社長に報告し、総務部長にその旨伝えてもらうことが正式です。しかし、直接言った方が早いし、会社の問題だから誰が言っても良いという暗黙のルールでこの越権行為を許すと、組織図は絵に描いた餅になります。
三つめは、『評価者は一人』の原則を取っていないことで組織が崩れる例です。良い組織は、部下は評価者の求めることが何であるかを期初に握って、期末にそれが達成されたかどうかで評価されます。しかし、よくあるのが、1次評価、2次評価、社長評価、などと評価のすり合わせに時間を掛けている会社があります。一次評価者である課長は、2次評価会議で別の課長や部長から「あいつは頑張ってるから、そんな点数ではかわいそうだ。」などと横やりが入り、点数が変わってしまう。そして最終的な点数を社長が鉛筆舐めながら丸めていく。評価者が何人もいる状態です。こうなってくると、直属の上司は評価者ではなく、「会議のためのたたき台を出す人」となり、期末の部下との面談で「私はなぜこんな点数なんですか!?」と詰め寄られても「僕は良い点数付けたんだけどね(汗)」と言い訳して、部下からの信頼を落とすなんて光景も。
組織図が絵に描いた餅では、組織が崩れますよ。
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